「いらっしゃいませ」のあとに「こんにちは」をいう理由
コンビニを始めとする小売業では、お客様が来店すると、
- いらっしゃいませ、おはようございます
- いらっしゃいませ、こんにちは
- いらっしゃいませ、こんばんは
などと声をかけることが多いと思います。
これって、僕が子供の頃(30年前くらい)にはなかったことなので、ここ10年、20年のことだと
思います。それまでは、ただ「いらっしゃいませ~」と言っていただけではないでしょうか。
僕がコンビニ本部にいた頃(15年くらい前)は、コンビニの接客が見直される時期(コンビニの成長が一段落し、接客を一段上げないと成長が止まってしまうのではという危機感があった時期)でしたので、まさに、「いらっしゃいませ」のあとに挨拶を言いましょうという風土を拡げるタイミングでした。
では、なぜ、「いらっしゃいませ」のあとに挨拶をつけるのでしょうか。
- 挨拶をつけた方が丁寧
- 時間ごとに違う挨拶をするから新鮮
- 近隣の店がやっていなければ差別化になる
僕は、当時このような理由だと聞きました。
が、想像以上に、加盟店に実践してもらうのは大変でした。
言わなければいけない言葉が増えると、アルバイト全員に浸透させることが大変なのです。
すでに、店の9割の人ができている中で、新しく入ったアルバイトに教えるのとはわけが違い、
昨日まで「いらっしゃいませ」としか言っていなかったアルバイトに、特にインセンティブもなく
プラスαのことをしてもらうことの大変さを、身をもって知りました。
本部社員の立場としては、接客を強化したい⇒そのためには挨拶でプラス一声を実践したい
しかし、現場では、そのことの価値が見いだせず、実践できないどころか、気持ちが入っていないアルバイトに形式的に「いらっしゃいませ、おはようございます」と言ってもらっても、全然、気持ちよくないのです。
強制的にアルバイトにやらせても返ってマイナスだ。。。
本当にこれは必要なのか。。。
自問自答の日々でした。
そんな中、お店にいるときに起こった出来事が僕の考え方を変えてくれました。
「いらっしゃいませ、こんにちは」とあるお客様に挨拶をすると、一瞬目が合って
「こんにちは」と軽く会釈をされました。
そして、レジ会計のときに、
「兄ちゃん、あのさ、この牛乳いつも買ってるんだけど、このメーカーのやつある時と
無い時があるからさ、毎日入れといてほしいな」
と声をかけられたのです。
そのときに、ふと気づいたんです。
「このためだ!!」
店舗で売る者にとって、お客様と仲良くなることは、何よりもありがたいことです。
その仲良くなるための一歩目が「会話」だとすると、「会話」になりやすい接客が必要です。
「会話」とは当たり前ですが、言葉のキャッチボールです。
ところが、「いらっしゃいませ」というだけでは、お客様は、何も返すことができないんです。
時々、酔っぱらったおじさんが、「いらっしゃいました~~」と陽気に返してくれることはありますが。。。笑
つまり、「いらっしゃいませ」という言葉には反応を返そうにも、何と返していいのかわからないのです。
何も返すことができなければ、それは一方向であり、「会話」とは言えません。
では、どうすれば「会話」になるのか。
先ほどの例も、「いらっしゃいませ、こんにちは」と言った私に「こんにちは」を返してくれたから
会話となり、その後の話に繋がったのだと気づいたのです。つまり「こんにちは」という挨拶には「こんにちは」と返すことができ、次の会話に発展する可能性があるのです。
何のために挨拶をしているのか。
挨拶としてこの言葉を選んでいるのはなぜなのか。
考え方を明確にすると、行動がかわります。
「お客様と仲良くなるためのきっかけとなる挨拶」
このように、定義をすると、不思議なんですが、よく考えるアルバイトだと、
西村さん、いつも来てくれている顔を覚えているお客様なら、
『こんにちは、今日は暑いですね』
『こんにちは、今日は早いですね』
とかでも、いいんですよね。
と、どんどん挨拶が進化していくのです。
僕は、「いらっしゃいませ、こんにちは」が一番いい挨拶だとは思っていません。
お店ごとに、その人ごとに違ってもいいと思っています。
ただ、「いらっしゃいませ」とだけ言うよりは、「こんにちは」をつけた方が、お客様と会話に繋がりやすいと考えています。
うちのお店にとって、挨拶は何のためにするもので、どのような位置づけのものなのか。
世の中では、毎日、いろんなところで「いらっしゃいませ」という挨拶がされています。
毎日、何百回とする挨拶に、経営者の「考え方」を注入するだけで、
数ヶ月後には新しい企業風土が出来上がっているかもしれません。
日々、何気なく当たり前にしていることだからこそ、その「考え方」を
再定義してみることは、新しい発見になると思います。
これは、挨拶に限らず、企業理念、値決めの方法、新商品の販促、営業日報の報告内容・・・
「なぜ、このようにしているのか?」を振り返ってみることからはじまることだと思います。
はじめまして
私はこの「いらしゃいませこんにちは」には違和感をおぼえていました。来店者の方を見もしないで、レジ対応をしながら「いらしゃーせーこーちぁー」と言われても何のホスピタリティも感じられないからです。今朝もセブン-イレブンでこのフレーズを聞きましので、問い合わせ窓口に訊ねてみました。
担当者によると、この「いらしゃいませこんにちは」は現在のマニュアルにはないのだそうです。かつては時間帯に対応した挨拶(おはようございます、こんばんわ等)をくっつけていたのだが、アルバイトを含めた全店員に徹底しきれなかったので廃止した、ということでした。
もちろん挨拶は人間関係の基本だと思います。たとえば、出勤前に朝食を買おうとして入店したときに「いらっしゃいませ」、レジ対応時にニッコリして「おはようございます」なら、その日の活力も増進しそうな気がします。ただし、「こんにちは」と「こんばんは」はしっくり来ません。日中はレジ対応時にも「いらっしゃいませ」、夜間はレジでは「お疲れ様」というのはどうでしょうか。
いぬまた様、コメントありがとうございます。
そうですね。まずは、挨拶としてどういう言葉を使うかよりも、どのような気持ちでお迎えするかのほうが大切ですよね。そういう意味で、お客様の方を見ないということは、ありえないですよね。
いぬまた様のアイデアである、入店時に「いらっしゃいませ」、レジ対応時に「おはようございます」というのは、とても良いと思います。にこやかに、そう言われたら朝の出勤前に元気が出ますよね。
毎日している挨拶ですから、ほんの少しでも気持ちを込めるだけで、「毎日」の印象がかわります。いい店がたくさん増えて、世の中が元気になるといいですよね。
初めまして。
西村様と考えが異なるかもしれませんが、私はこの「いらっしゃいませこんにちは」が大嫌いです。
近所のベルク(スーパーマーケット)は、この挨拶をしているので、店に行くと不快になります。
第一に、敬語としておかしいです。目上の人をお迎えする尊敬語(いらっしゃいませ)と、親しい間柄に使うタメ口(こんにちは)を連続で言うのが不自然です。まともな感覚の人ならば、1つの対象に同時に相反する2つの感情を抱くことはありません。
ベルクからは、「この挨拶は多くのお客からフレンドリーだと好評をいただいている」と返答されました。しかし、実際には、近所のお店で店員から上記の挨拶をされても、挨拶を返すお客が誰一人いません。これこそ、大多数のお客は店員にフレンドリーさなど求めていない・感じていない証拠でしょう。
第二に、文法的にもおかしいです。せめて順序を逆にして「こんにちは、いらっしゃいませ」と言っていただきたいものです。以下に理由を述べます。
例題)自宅にお客が来て出迎える時、どちらの方が「自然」な言い方でしょうか。
①「本日は、我が家へようこそお越し下さいました。」
②「我が家へようこそお越しくださいました、本日は。」
普通の日本語力を持っている人であれば①を選ぶはずです。
元々「こんにちは」 とは、単独では意味をなさない言葉でした。「こんにちは、よいお日和ですね」「こんにちは、ご機嫌いかがですか」など、後にもう一言を追加してこそ、意味を成す言葉なのです。発音は「コンニチワ」ですが、「こんにちは」と表記するのはこの理由です
②が不自然なのは、「本日は…」が文章の後半にきているのに、後に付随する言葉が何も無く、尻切れトンボの様な印象を受けるからです。同様に「いらっしゃいませ、こんにちは」は、この②に該当する物言いのため、不自然に感じられるのです。
お客にかける言葉は、「いらっしゃいませ」単独で十分。
(「こんにちは」単独は、相当親しい常連客であれば使っても可。)
どうしても両方言いたいのであれば、「こんにちは、(きちんと区切ってから)いらっしゃいませ」
と言うべきだと私は考えます。
長文失礼いたしました。
ショウ様、コメントありがとうございます。
尊敬語、ため口の混同という見地からのご意見、「こんにちは」の起源を踏まえた文法的な見地からのご意見、大変勉強になりました。
同時に、言葉というものの裏に込められた意味を理解せずに言葉を発すると、その言葉の真意を大切にする方にとっては、不快な気持ちにさせてしまうのだということも痛感いたしました。
言葉というものは人間が使うものである以上、時代や考え方の変化に伴い、言葉も変化していくことはやむを得ないことかもしれませんが、コミュニケーションをとろうという意思はあるのに、それが伝わらないというのは残念なことです。
ショウ様が、おっしゃるような言葉の真意も知ったうえで、日常の挨拶をどうしていくべきかを考えていくことが大切なのだと思います。
毎日毎日、する挨拶ですから、気分のよくなる挨拶にしたいですもんね。