課題(やるべきこと)が一つに絞れると強い
「資金調達」についてのご相談を受けるときに、「なぜ、資金調達が必要なんですか?」と聞くと、
「お金が足りないから」と言われることがあります。
確かに間違っていません。
しかし、「お金が足りないからお金貸して」と友達からいわれても
「わかった」と貸す人っていないですよね?
(ただ、超信頼している人には、ある程度の金額までは、理由も聞かずに貸してあげるということがあるかもしれませんね。銀行との取引でも、それに似た「○○円までは無条件で融資する」という契約もあります。)
必ず、「お金が足りない理由」があるはずなんです。
しかも、経験上、突き詰めていくと、その「理由」は1つに絞られるはずです。
先日、こんなお客様がありました。
詳しい業種などは言えないのですが、食品製造業を営まれている方で、やはり
「お金が足りないから融資を受けたい」というご相談でした。
新規のご相談だったので、「なぜ、お金が足りないのですか?」と聞くと、
下記のように色々とお話してくださいました。
- 少子高齢化の影響を受けて売上が減少している
- 製造している製品の材料が高騰している
- 若者の○○(当社の製品)離れが進んでいる
- 人件費が売上に比べて多い
- 製造設備の老朽化が進んでいて、設備の入れ替えが必要である
などなど。
ここまでは、ほとんどの企業が抱える共通の悩みです。
ここから、その企業の悩みのすべてに共通する一番の「理由」にたどり着けるかどうかが、融資を受けるとしても、他の方法を選択するとしても大切なアプローチになっていきます。
追加で質問をしていくと。。。
- 売上の中でも当社が一番得意な製品だけは売上がのびていて品薄状態
- しかし、その製品は製造工程の一部で職人の技術が必要な部分があり製造数量に限界がある
- ところが、最新の機器を導入すると職人への依存が減り、製造数量を増やすことができる
ということがわかりました。
つまり、当社は、職人の技術が必要な部分をカバーする設備の導入が一番優先すべき理由ということになりました。
となると、その設備の資金を銀行融資で調達する方法も考えられますが、せっかくなので「ものづくり補助金」にトライしてみることをお勧めしました。うまくいくと、1,000万円まで返済しなくてもよい資金が得られることになります。
(この5月8日が締め切りの補助金でした)
これは、ただ、資金が足りないということだけでは得られない結論です。
経営をしていると、様々なことが頭をよぎり、一番根本的な理由というのは、見つかりにくくなってしまいます。
そこをもう少し深掘りすると、上記の例のように、課題が明確になるばかりでなく、新たな資金調達方法が見つかることもあります。
この例で言えば、「お金が足りない」だけだと、追加融資の申し込みしか手だてがないように思えてしまいますが、設備投資が一番優先すべきことだということになれば、補助金の検討ができます。
そうすることで、たとえ補助金がダメでも、課題が明確になった事業計画であれば、銀行からの融資も得られやすいことになります。
課題(やるべきこと)は深堀りしてできる限り1つに絞り、資金調達の方法は、幅広く検討することが必要だと考えています。
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