「自社にとっての正解」を考える大切さ
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「待ち時間が長いから、予約システムを導入すべきか?」
先日、ある顧問先の病院の院長先生からこんな相談を受けました。
「最近、患者さんから待ち時間が長いという声が増えてきていて……予約システムを入れたほうがいいのかな?」
確かに、病院に限らず、飲食店や美容院など、多くの業界で「予約制=顧客満足度向上」という流れが一般的です。しかし、それは本当に正解なのでしょうか?
私は、まず「なぜ待ち時間が長くなるのか?」を院長先生に聞いてみました。
院長:「一人ひとりにしっかり治療内容を理解してもらうのが大事だからね。5分で済む患者さんもいれば、30分以上かかる方もいる。特に長年来てくださっている常連の方とは、最近の体調の変化も丁寧にお聞きしたいから、どうしても時間がかかるんだよ。」
私は続けて質問しました。
「それって、悪いことなんでしょうか?」
院長:「いや、むしろ大事にしていることだから、良いことだよね。」
「予約システム導入=正解」とは限らない
このやりとりを通じて、あることに気づきました。
予約システムを導入すると、「時間通りに診療すること」が最優先になってしまう。
でも、この病院の院長先生のモットーは「とことんまで患者さんの悩みを解消し、安心して帰ってもらうこと」。
つまり、「予約時間を守ること」と「じっくり診療すること」は、相反する可能性があるということです。
そこで、私は次のように提案しました。
「予約システムを入れるということは、『時間通りに診療することが最優先』という医院の意思表示になります。でも、先生が大切にしたいのは、『じっくり診ること』ですよね?」
すると、院長先生は「確かに!」と頷きました。
院長:「そうだね、うちは予約の時間通りに流れ作業のように診る医院ではない。
患者さんが安心して帰れることを最優先にしたい。」
「時間短縮」ではなく、「待ち時間のストレス軽減」に目を向ける
「待ち時間が長い」という声に対して、最初は「待ち時間を短くする」ことを考えていた院長先生。
でも、本当に患者さんが求めているのは「待ち時間をゼロにすること」ではなく、**「待たされるストレスを減らすこと」**なのではないでしょうか?
そこで、院長先生が新たに思いついたアイデアがこちら。
院長:「じゃあ、予約システムを入れるんじゃなくて、今どれくらい待っているのかをスマホで確認できるようにするのはどうだろう?」
私:「それ、めちゃくちゃいいですね! 患者さんは『今どれくらい混んでいるか』を事前に知ることができるし、先生は診療時間を無理に削らずに済む!」
院長:「あやうく、予約システムを導入して、やりたい診療ができなくなるところだったよ。ありがとう!」
まわりの業界の流れに流されるな、「自社にとっての正解」を考えよう
この話のポイントは、「競合も導入しているから」「流行っているから」という理由で、自社に合わない施策を取り入れようとしてしまうケースが多いということです。
業界の常識や一般的な「成功パターン」に縛られてしまうと、本来大事にすべきものを見失うことがあります。
例えば、
- 人材採用 → 「他社はSNSで採用活動してるからウチもやる?」→ 本当にウチに合う採用手法か?
- マーケティング → 「流行りの動画広告をやる?」→ でもウチの顧客層に合っているのか?
- 新しいサービス → 「競合が新規事業を始めたからウチも?」→ 自社の強みを活かせるのか?
このように、「まわりがやっているから」と考えるのではなく、「自社の理念・強みを活かすために何がベストか?」を考えることが大切です。
まとめ:「自社にとっての最適解」を見つけるために
今回の病院のケースでは、
✔ 競合が予約システムを導入しているからといって、それが自社にとっての正解とは限らなかった
✔ 患者の「待ち時間が長い」という不満に対し、「時間短縮」ではなく「ストレス軽減」という別の視点で解決策を見出した
✔ 大切にしている価値観を活かす方向で打ち手を考えることが、結果的に顧客にとっても良い選択肢になる
これは、病院に限らず、どんな業種の経営にも当てはまる話です。
「うちも何かやらなきゃ」と焦る前に、「そもそも、うちは何を大切にする会社なのか?」を問い直す。
それだけで、やるべきことが見えてくるかもしれません。
💡 あなたの会社でも、まわりに流されて“やらなくていいこと”をやろうとしていませんか?
もし、「今やろうとしていること、本当に必要?」と疑問を感じたら、一度立ち止まって考えてみてください。
「自社にとっての最適解」、見つかるかもしれませんよ。
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