AIと一緒に“ビジョンを言語化”したら、客単価が2,000円アップした話


「2店舗目、どんな店にしたいですか?」

先日、顧問先である飲食店オーナーのS社長と、2店舗目出店の相談をしていたときのこと。
業績好調な焼き鳥居酒屋の1号店に続き、いよいよ次のステージへ――というワクワク感が伝わってきました。

お店のコンセプト、価格帯、ターゲット…。
こうした話を進めるなかで、S社長からこんな言葉が。

「2店舗目って、今後スタッフも増えるから、経営者として自分が何を大事にしてるか、ちゃんと言葉にしておきたいんだよね」

その言葉に背中を押されるように、私が提案したのは――**「AIを使って、一緒に整理してみませんか?」**という提案でした。


AIが引き出した、“自分でも気づいていなかった本音”

S社長が入力したのは、いくつかの質問に答えるだけの簡単なシート。

「どんなお客様に来てほしいですか?」 「どんな体験を提供したいですか?」 「1号店との違いは?」

…そして、AIがまとめたのは、こんな内容でした。


【1号店】
・大衆的な雰囲気
・敷居が低く入りやすい
・でも味は本格派!焼き鳥がとにかく美味い
・学生やサラリーマンに親しまれる
・そのため合コンと接待が同じ空間で行われてしまうことも・・・

【2号店】
・接待や記念日に使ってほしい
・空間にもこだわりたい
・“特別な時間”を提供する店にしたい
・1号店のお客様の中でも、もう一段上の層を狙いたい


S社長は、AIが返してきた文章を見ながら

「あぁ、そうか。俺、こういう店を作りたいんだよな」

と、ポロッとこぼしました。
このときの表情、ほんとに“腑に落ちた顔”だったのを覚えています。


「あれ?その価格だと学生も来ちゃうんじゃ…?」

さらに話は進み、「じゃあコースの価格はどうしましょうか?」という話に。

S社長:「今の1号店が、コース4000円〜6000円だから、
    2号店はちょっと上げて、6000円〜8000円で考えてます」

と聞いたとき、私はふと、こんな疑問が湧きました。

「6000円って、学生も頑張れば出せる金額じゃないですか?
 そうすると、1号店で起きていた“学生の合コンの隣で接待問題”がまた起きるんじゃないですか?」

その瞬間、S社長の目がぱっと見開いて、

「ほんっとうにそうだ!」

と大きな声が出ました(笑)


コンセプトが明確になると、「価格」も「サービス」も自然に決まる

その場でコースの価格帯は、6000〜8000円から、8000〜12000円へと変更。

S社長:「その価格なら、もっといい材料が使えるし、スタッフ教育もしっかりやらなきゃって思える。
なんか…急にワクワクしてきたわ!」

――この言葉が、すべてを物語っていると思いました。


価格は“ビジョンの反映”である

このエピソードのポイントは、「AIを使ったからコース単価が上がった」ことではありません。

大切なのは、

  • 自分がどんなお店を作りたいのか
  • どんなお客様に、どんな体験をしてほしいのか

こうした「経営者のビジョン」が言語化された瞬間に、価格や戦略がクリアになったということです。


AIは、代わりに考えてくれる“答え”ではない。考える“きっかけ”になる。

私たち税理士の仕事は、数字を見て「利益が出てますね」と言うことではありません。

経営者が頭の中に持っている**「なんとなくこうしたい」を、言語化して、形にしていくこと。
そして、そのビジョンに合った
戦略・数字設計を共に考えていくこと**。

そのための手段のひとつとして、AIは非常に有効だと、改めて感じました。


「経営者の頭の中を“見える化”する」AIと税理士の協業

私は、AIを「魔法のツール」だとは思っていません。

でも、今回のように経営者自身が気づいていなかった想いや考えを言葉にするサポートとしては、
これからの税理士業務に欠かせない存在になると感じています。

価格、メニュー、サービスの設計――
全ての起点は、**経営者の「想い」**にあります。


💬 「AI×税理士」で、あなたの頭の中の“なんとなく”を言語化してみませんか?
それが、未来の意思決定を変える第一歩になるかもしれません。


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