貸借対照表を見ると○○が分かる
税理士で未来会計コンサルタントの西村です。
私は、税理士のお仕事をしながら、週に1回大学生に会計を教えています。
私の講義では、毎回座る席が異なるのが特徴です。
ある講義では誕生日順、ある講義では血液型ごとに座ってもらうこともあります。
そうしている理由は、私の人生にとても影響を与えてくれた方の言葉で
「人生は、誰と出会うかで決まる」
ということを心の底から信じているからです。
「出会い」の影響を内部的・外部的に分けて考えてみると、
【内部的】
「自分とは違う人の価値観に触れ、感情が動かされ、新たな気づきを得て、今後の生き方が変わる。」
【外部的】
「出会った人の価値を見つけ、または、自分の価値を見出してもらうことで、今後の人生におけるパートナーになる」
ということが実際にあると信じているのです。
そのような考え方に立ち、半年で全15回もある講義中で、毎回、顔も性格も知っている友達とばかり近くに座るのではなく、新しい出会いのチャンスとなるようにしてほしいと思い、毎回、席を変わってもらっています。
前置きが長くなりましたが・・・
ある講義の回に、
「今日は、お金の使い方で分かれて座ってもらいます」と私はいいました。
つまり、「貯金は大切だと思う人」「お金は使ってナンボと考えている人」に分かれて座ってもらいました。
その日の講義は、
「企業の会計を見る前に、自分のお金の流れ(いわゆる家計簿)を分析してみよう」という内容でした。
そもそも、「お金って何?」というところから考えてもらうと、様々な意見が出てきます。
古くは物々交換から始まり、やがて、お金というものが登場し、そのおかげで、モノの価値を定量化(値段がつくということですね)できるようになり、
・お金を生み出す(稼ぐ)力
・お金を貯めておく力
に差ができてきたことにより、経済力に差がでてきて、今のような社会ができてきた。
上記の2つの力は、両立させることが必要である。
なぜなら、お金を生み出すためには投資をしなければならない。投資をすれば当然、お金を貯めることにはならないからだ。
では、お金を投資するのと、貯蓄するのはどうやって決めればいいのか?
それは、今どんな夢をもっているかで変わるのだと思う。
大きな夢なのか、小さな夢なのか
はっきりした明確な夢なのか、方向性は決まりつつもおぼろげな夢なのか
自分一人で達成できそうな夢なのか、たくさんの人を巻き込まなければ達成できない夢なのか
によっても異なります。
では、何にお金を使うのかを決めるのはなんでしょうか。
先ほど、お金というものが登場したおかげで、「価値を定量化(モノの値段がいくらだと定義)」できるようになったと書きました。
同時に、お金を使う側からみると、その価値と値段が見合ったものかどうかという判断が発生することになります。
その判断は、先ほどの夢と密接に関係していて、
その支出により、その夢が達成できそうか、そうでないかにより、判断は異なります。
では、その判断をする決め手はなんなんでしょうか?
私は、「価値観」だと考えています。
その人が何に対して、どういうことに対して「価値」を見出しているのかということです。
ただ、「価値観」というのは、無意識にその人に形成されるものです。
結果、無意識のうちに、その支出は「価値があるものだ」「夢の達成に必要なものだ」
と、思い込んでお金を使うということがよくあります。
無意識に使ったものは、その後振り返ることはありません。
その投資はよかったのか悪かったのか。
一番怖いのは、自分がどういう価値観でお金を使うのかわからず、浪費を続けるということです。
学生の皆さんにも考えてもらいました。
・街を歩いていて、カッコいい服を見つけた時、衝動買いする人としない人
・車を買うときに見た目やブランドを重視する人と、燃費や運転しやすさを重視する人
・自分の買いたいもののためなら、どんな飲み会の誘いでも断れる人
・飲み会を断るか、誘いに乗るかの明確な判断基準を持っている人
どれが正しいのか、正しくないのかということはなく、自分の価値観を知るということが大切だと思います。
貯蓄と投資(浪費でないことに注意)に分かれて座ってもらったのだが、「両方必要!」ということが言いたいんですけどね(笑)
と、講義を締めくくりました。
さて、やっと本題の企業の貸借対照表の話。
貸借対照表は、右側に「お金をどうやって調達してきたか」、左側に「その調達してきたお金をどのように使っているか(事業のために投資しているか)」を示しています。
まさに、企業のお金の使い方(価値観)を示したものになります。
お金をどうやって調達しているのか、数年分貸借対照表を並べてみれば見えてきます。
お金をどうやって投資しているのか、数年分貸借対照表を並べてみれば見えてきます。
どうやってお金を調達するのか、お金を何に投資するのか(使うのか)は、中小企業では「社長」が決めます。
つまり、貸借対照表を見れば「社長のお金に対する価値観」が分かるのです。
知らず知らずのうちに出来上がった貸借対照表と、意思をもってデザインした貸借対照表は全く違います。
改めて、貸借対照表を見てみると、気付きがあるかもしれませんよ。
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