長いストローいりますか?
シルバーウィーク中にあるコンビニでレジに並んでいた時のこと。
一つ前のお客さんと店員さんとのやり取りを何気なく聞いていました。
店員「長いストローはお付けしますか?」
お客「ん?何?」
店員「えっと、長いストローはお付けしますか?」
お客「え、何を付けるって?」
店員「(もっと大きな声で)長いストローはお付けしますか?」
お客「ストロー?何に使うの?」
店員「このお茶です」
お客「いいよ、家でコップ使って飲むから・・・」
このやり取りの内容、わかりますか?すぐにわかる方は、コンビニのヘビーユーザーかもしれません(笑)
ここにでてくるお茶は、1リットルの紙パックのお茶です(牛乳パックと同じ大きさのものです)。
コンビニでは、500mlのパック飲料には、ストローを付けてもらってそのまま飲むのが主流になっていますが、中には、1リットルの飲料も家庭でコップを使って飲むのではなく、車内や外で直接飲む需要もあり、専用の長いストローをサービスの一環として準備しているのです。
この長いストローは、先が折れ曲がるようになっている原価が高いものなので、コンビニには500mlには問題なく使える少し短めのストローと、1リットルのパック飲料に使うための長いストローの2種類をおいているところが多いのです。
(写真参照。この写真は、ストローが2種類あることを説明するために撮ったもので、本文の内容とは関係ありません)
つまり、言ってみれば一部のお客様のために付加価値をつけたサービスです。
それを前提に考えた時、冒頭の接客はどうでしょうか。
付加価値を感じてもらうどころか、そのサービスがあることで、逆に、お客様に不快感をもたれることになってしまっています。さらに、なんのためにそのストローをおいているのか、なぜ、お客様は不快な想いをしてまで、やり取りをしたのかがわからないままお店を立ち去ることになります。
お客からしてみれば、店員さんの発言をしっかり聞こうという思いで、何度も聞いたのだとおもいますが、結局、よくわからない印象だけが残ってしまうことでしょう。
こういうことって、たまたまこの店だけで起こったことではない気がします。
確かに常連さんや、コンビニを毎日のように利用している方であれば、「長いストローはお付けしますか?」だけで、意図していることはわかるでしょう。
しかし、コンビニで1リットルのお茶を買ったことが無く、冒頭のような場面に遭遇したことがないという人も多いと思います。
お客様が「ん?何?」と聞き返したのは、単に聞こえなかったのではなく、質問の意図が知りたかったと考えると、「長いストローをお付けしますか?」ということを大きな声で繰り返すということにはならないはずです。
本来は、「ん?何?」と聞かれた時点で、
「当店では、1リットルサイズのパック飲料を直接飲みたいというお客様のために長いストローを準備しておりますが、ご入用ですか?」
と聞き直すことが必要だったのでしょう。
冒頭のようなやり取りでは、長いストローを準備していないコンビニの方が、このお客さんにとってはいいということになってしまいます。だって、会計がスムーズに済みますし、変な違和感も感じないことになりますからね。
こういったことを、従業員さんひとりひとりに伝えることってすごく地道で大変なことです。
単に、「接客を良くしましょう」というだけでは、絶対に伝わらないことですから。
具体的な例を挙げて、「君ならどのように対応する?」と当事者意識を持たせて、実際に考えてもらわなければ、そして、お客様の立場にたってもらわなければ、絶対に気付いてもらえません。
しかし、接客をする従業員に気付いてもらえなければ、毎日毎日、同じ接客を繰り返すだけになってしまいます。
このような「気付き」を従業員に与えるために必要なことは
- まず、経営者や店長が「気付き」を得ること
そして、
- 経営者や店長が得た「気付き」を従業員に伝える『場』があること
だと思います。せっかくのサービスが、それを適切に説明する体制が整っていないことにより、逆にお店の価値を下げる(お客様を失うことになる)ことは本末転倒です。
そんなことを感じたシルバーウィークでした。
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